オランダ生活。急遽、オランダ入国した話(後編)
前回の続き。
ダメもとで準備をしてみてそれでもダメそうなら諦めよう。。。自信はさらさらなかったけれど、とりあえず前向きに動いてみようと思い、部屋にスーツケース2個を広げ、すぐに必要なものだけを詰め込みました。
両親に事情を説明しました。冷静に話そうと思っていたけれどやっぱりそれは難しくて。そして言葉にすると改めて実感が湧いてきて。自然と涙が溢れてきました。前々から渡欧することは決めていたし、EUのニュースを気にしていてくれたので来る時が来たかと言う感じで話を聞いてくれました。母親は「こっちは何とかするから、今すぐチケットを取りなさい。」と私の背中を押してくれました。
1月31日の発表では細かい情報が未確定で、もしかしたらPCR検査の陰性証明がいるのかもしれない。長期ビザがないと入国できないかもしれない。そんな不安もあり、チケットを取ることを躊躇していたのですが、母親の一言で覚悟を決めました。すぐに携帯で調べて、札幌から大阪便、前泊のホテル、オランダ行きの国際便のチケットを押さえました。
もともとコロナの影響で乗客が少なかったのか、航空チケット価格も跳ね上がることなく確保できました。大阪のホテルも下調べしていた場所で送迎シャトルバス付きのプランが当日予約できました。
職場の上司へも休日に連絡したにも関わらず退職を承諾してくださり、なんと赤ちゃん服まで頂いてしまいました。病院へは代理として家族が手紙を受け取りに行ってくれることになりました。電話口の担当看護師さんには温かいお言葉を頂きました。受け取り後スキャンして送ってもらいます。
週明けの平日には区役所へ「海外転出届」と「出生前胎児認知届」の手続き。社会保険の任意継続手続き。引っ越し荷物の発送。その他本当に色々なことを残したまま旅立ちます。家族の協力なしでは成り立たない今回の渡欧計画。どれだけ感謝してもしきれません。
幸い、大阪行きの便は夜20時発のため準備に必要な時間はありました。昼頃には同じく事情を説明していた妹も合流し、荷造りを手伝ってくれました。そして中途半端なことはありましたが、なんとか夕方には準備を完了し、2時間ほど実家の家族とゆっくりする時間が取れました。特別なことをするわけでも話すわけでもなく、いつもと同じ日曜日。でもそれがとても心地良く感じました。
夕方に空港まで送ってもらいます。行く前に実家の犬と夕方の散歩をし、いつも通り散歩後にはご飯がもらえると思って、玄関で足を拭きリードを外すと一直線に行ってしまいました。でもそれで良い。実家の車は大きくないので、スーツケース2個積むと乗車できるのは運転手も含めて3人まで。母親、妹、私が乗って行くことになり、父親とは玄関でさよならしました。特に多くの言葉を交わすことなかったのですが、寂しくなるのでそれでよかったと思います。
コロナ騒動が落ち着き、すぐに一時帰省できることを心に誓い、実家を後にしました。
空港に少し早めに到着しましたが、チェックインなどは密を避けるためか便ごとに細かく時間設定がされていたため、意外とゆっくり夜ご飯を食べることはできなかったです。手荷物検査場で見送りにきてくれた母親と妹とお別れしました。実は母親は関空まで行こうか?と最後まで打診してくれていたのですが、大阪に来ることで少しのリスクも負って欲しくないので断りました。気持ちがとても嬉しかったです。
大阪へ到着し、送迎バスにも無事に乗ることができました。乗客は私しかいませんでした。気さくに話しかけてくれる運転手さん。フロントの方は遅い時間に関わらず暖かく迎えてくれました。私は入国時に見せようと思っていた移民局からのメールをプリントアウトしたかったので、できるところはないかとフロントの方に尋ねました。近くのコンビニと空港のコンビニにも印刷できるところがあることを教えてもらい、その後部屋に着き一息。少しですがパートナーと電話できました。オランダ側のサイトなどを同じく調べてくれてはいましたが、結局具体的なことはわからなかったのですが、とりあえず今できることをしよう。きっと最後は大丈夫だよ。と励ましてもらい眠りにつきました。
翌日、朝食を食べに食堂に行くと昨日のフロントの方が声をかけてくれました。良ければ必要書類をホテル側でプリントアウトしてくれるとの事でした。臨機応変なフロントの方の対応に驚きと感謝です。私はプリントをお願いして、ホテルの朝食を食べました。出来立てのご飯とお味噌汁が渡欧前に食べられるなんて本当に幸せでした。ホテルからも送迎バスで空港まで送ってもらい、KLMオランダ航空へチェックインしました。その際にも陰性証明等も求められなかったため、一安心。。。
前回の渡欧同様、同じ便に乗る方は30人程度しかいなく、座席も寝転がれるくらいスペースがありました。1点違ったのは、客室乗務員の方のサービスが通常通りに戻っていた事です。前回はドリンクサービスも最小限の回数、食事の提供も基本的にはお菓子やサンドイッチが袋にひとまとめになったものをもらうなど接触を控えた仕様だったので驚きました。ただマスクに関しては厳しく、食事の時のみ外すことが許可されており、その他寝る時などは常にマスクをするよう促されていました。
それでも今回も最後まで快適なフライトだったことに変わりはありません。これもまた感謝です。
そして最後、パスポートチェックです。東京からの便と鉢合わせたのかすでに数人並んでいました。さらに客室乗務員の方たちのパスポートチェックも重なりかなり待ちました。ついに自分の番がきて入国目的を聞かれましたが用意していた移民局からのメールを見せると納得してくれて、無事入国できました。
荷物を受け取り、日本・オランダ両方の家族へ入国できた報告をし、駐車場で待つパートナーの母親と兄の元へ向かいました。パートナーは急だったので仕事の休みが取れず来れませんでした。現在コロナの関係で航空券を持たない人は駐車場までで空港内には入れません。こちらも無事に合流し、家路に着きました。
パートナーが帰ってきたのは夜9時過ぎ。いつも使っているハイウェイが通行止めになっていたらしく、遠回りをして帰ってきたそうです。約5ヶ月ぶりの再会。不安だった今回の渡欧。顔を見た途端、いっきに気が緩み涙が溢れてきました。
協力してくれた全ての方々に心から感謝します。
お読みいただきありがとうございます。